かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私は、黒沢柚実(くろさわ・よしみ)。16歳、高校2年生にして色々な重みを背負っていた。
 ずっと好きで、ずっと一緒にいた幼馴染の祐太という子を9歳の頃に病気でなくした。
 喪失感に囚われ、自分を見失ったまま、突然現れた森村先輩――瞬に、こころも、唇も身体も奪われてしまった。
 こころを奪われたというのは、恋をしたというわけではない。
 彼に対して恋ではないという、自覚を教えてもらった。
 そして本当に恋をしたのは、さっき後ろから突いてきた澤石純なのだ。
 彼は純朴で、朴訥とした喋りなのに――。
 そのギャップに、驚かされる。
 ――その話は、後々。
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