かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「何、縮こまって」
「――いや、何か、嬉しくて」
 訳の解らないであろう、私の返答にも、彼は何も応えず自分の腕時計を見た。
「早いけど、行くか」
「うん」
 純はそう言うと、ひとりでずんずん歩き出してしまった。
 私は慌てて後をついて行く。
「純、歩くの早いってば。並んで歩いてよ」
「……悪い」
 彼は半身だけをこちらへ向けて、そう言ってくれた。
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