うるせえ、玉の輿。
お皿を拭こうと横に立つと、業平は私にはできない妖艶な、寂しい笑顔で微笑む。
「いいえ。やっぱり同性よりは、異性の方が強いわ。同じものが付いてるより、自分にないものを持ってる人を、すきになっちゃうものなのよ」
「業平……」
「でも私も麻琴ちゃん好きだし、ふわふわしてる女の子可愛いから、女の子に勝てないっていうのは分かってるのよ。でも、恋って止まらないじゃない?」
「うん。恋したことないけど、業平が恋に毎回大暴走してるのは知ってるよ」
中学生時代に付き合った女の子が、業平の取り巻きの女の子に上履きを隠されたときにホースもって追いかけて全員水にぬらして土下座させていたのを覚えている。
あれを見て、生きることさえ精いっぱいの私には恋愛はいらぬと思った。
生きる上で、恋愛はくそ面倒くさそうだと思った。
それに私が王子様だと思っていた業平は、実はお姫様だったし。
「だから、ママとパパは心から愛してるわ。大事に育ててもらえて感謝してる。けどね、止まらないのよ。いくら、目に入れても痛くないような可愛い麻琴ちゃんを刺客に差し向けてきてもね」
「だから形だけ結婚すればいいのに」
「彼がもし本気になってくれた時、私だけ逃げ道作っていたら、不誠実でしょ?」