うるせえ、玉の輿。
社員たちの声を右から左に聞き流しながら、トラックまで走っていく彼を追いかけた。
追いかけたのに、どんどん距離は離れていく。
足の幅が違うから追いかけられない。
「あの、ジョージさん!」
既にトラックに乗り込み、エンジンをかけていた彼の目の前に回り込む。
「あれ? どうしました?」
「業平充ての荷物、大変だろうから今もらっておきましょうか?」
何を受け取るのか分からないけど、今会っているので貰っておけば仕事が一つ減るのではないか。
ただ単にそう思っただけだ。
「ありがとうございます。でも住所じゃない場所で渡すのって、ルール違反でして」
「私がいいって言ってるから大丈夫です」
「それに、ウォータークーラーのお水、段ボール二箱なので女性にはかなり重いですよ」
「はあ!? あいつ、お水なんてわざわざ購入してるの!?」
水道水で十分じゃない。こんな田舎の水なんて、都会に比べたら全然の全然不味くないのに。
「なので、また。お気遣い、本当にありがとうございました」
爽やかな、津津村丞爾(27歳)は、そのまま私に何度も頭を下げて去っていった。
どうしよう。少ししか会話してないけど、すごく良い人オーラ全開で、全く悪い部分が分からなかった。
というか、業平が好きなのが、少しわかる。
何も混ざってない天然とか、岩石とか、磨けば光るとか。
業平の萌のツボが全開だった。