ねえ、理解不能【完】
信号が赤になって千草たちが止まった。
同じ方向に進んでいるから、私の道の横断歩道も赤で。このままのペースでいけば、車道を挟んで横並びに歩くことになってしまう。
そうなると二人にばれてしまう可能性も格段にアップするから。
私は歩幅を小さくして、歩くスピードをかなり落とす。
絶対に、絶対に、ばれたくない。
なんでこんなに必死なのか、自分でも分からない。
やましいことなんて何も無いんだから普通に歩けばいいのに、って思うのに。
でも、やっぱり嫌だよ。
あっちは二人で歩いていて、こっちは一人だもん。惨めだ。バレたらなんて思われるのか想像するだけで、嫌になる。
プライドの問題なんだと思う。
.......遠回りして帰ろうかな。
なんて、考えていた矢先、
「......わっ」
千草が、後ろを振り返った。