ねえ、理解不能【完】








それにしても、この声って誰だっけ。
男の人だってことは分かるんだけど。

振り返って初めて顔を見上げれば、クラスメイトの川瀬 ゆう君が少しだけ困った顔で笑いながら立っていた。




川瀬君は少しタレ目で人懐っこい顔をしていて、みんなから可愛いと評判の男の子。

ゆうちゃんとか、かわゆとか呼ばれていて、男の子なのに嬉しいのかな、ってずっと疑問に思っていた。


クラスではムードメーカー的な存在だ。


みんなから好かれている愛されキャラで、中には川瀬君に恋心を抱いてる女の子もいるだろう。顔はとっても整っているし、何より優しそうだもん。


私も一度だけ、隣の席になったことがあった。
その時に川瀬君の笑顔に癒されていたことを思い出す。






「川瀬君ほんとにごめんね」

「いや、いいよ、そんなに謝らなくて。たいしたことじゃないし」

「……私のお尻のせいで、椅子が熱くなっちゃったかも」

「……冬だったら最高なんだけどな、この時期は微妙だなあ」





川瀬君がふわりと爽やかに笑ったから、私もつられて笑ってしまう。


朝から、癒しをありがとう。


そんなことを思いながら椅子を引いて川瀬君を見ていたら、ありがとう、って笑ったまま彼が座った。






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