ねえ、理解不能【完】




何それ。何それ。
・・・また、知らない、千草。


くるしくて、頬はゆるみそうで、耐えられそうにない。

何も言わない私に、千草は一度唇をぎゅっとむすんで、それから、「嘘だよ」と呟いた。



だけど、私の手を握っている力がすこし強くなって、もう一度口を開く。




「やっぱり、嘘じゃない」



どっち、って。

言い直しした方が、本当、って分かってる。
嘘じゃなくていいよ、って言わないけど、思ってる。



泳げない千草をからかうみたいに提案したことだけど、もし本当にプールにいくことになったとき、ほかの女の子たちが千草を見て頬を赤らめたりするところを想像したら私だっていま嫌な気持ちになったよ。



・・・言わないけど。



「え、と、うん」




「・・・俺、これからは青にそういうこと言うけど、」

「・・・・・・、」

「いい?」




そういうこと、って、“彼氏”みたいなこと?
やっぱり、私たちって、ちゃんと、付き合うことになったのかな。

分からないまま、こくん、と頷いたら、千草は少しだけ顔を穏やかにさせた。




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