ねえ、理解不能【完】
どくんどくん、って心臓の音は、甘さと苦しさで戦争してる。
目の前で、違う女の子と電話するの?
私が、嫌だ、って顔してるのに、するの?
なのに、なんでそんなに手首を掴む手の温度が熱いんだ。
なんで、私のこと、離さないようにしてるの、千草。
「ーーもしもし、旭だけど、」
千草の声。
向こうと繋がったんだって、それで知る。
相手の声は聞こえないけれど、千草は時折、うん、って愛想のかけらもない相槌を返していて。
意味わからない。
私のことが好きなくせに。
そうやって言ったくせに。
そう思いながら、もう可愛げなんてひとつもなく、千草を真っ直ぐ睨んでいたら、千草は、手首をつかんでいた手を解いて、ぎゅうっと私の手のひらと強く合わせた。