ねえ、理解不能【完】
幼なじみだったときに、何十回、何百回も感情をあらわにさせて、それを千草に丸ごと向けていたから、今私が怒鳴って千草の胸を力強く押したって、やつは何も動揺しなかった。
それどころか、冷静に制服のズボンのポケットから小さな紙切れをとりだして。
私の方なんて何も見ないでそれを広げて、スクバから徐に携帯を取り出す。
「・・・・・・っ、え、」
理解、できない。
千草がこれからするであろう行動は予想できたけれど、そうする意味も気持ちも何もかも理解不能で、私は怒ってたはずなのに、不安げに、千草、と名前を呼ぶ羽目になる。
そうしたら、携帯から目を離して、千草は、むっとした表情で私と瞳をあわせた。
「・・・・・・連絡したらって言ったから、する」
「は、なんで、」
頭が急に真っ白になって、目の奥が熱くなって、逃げ出そうかと思ったけど、
携帯を耳に押し当てた千草に手首をつかまれて、動くことができなかった。