ねえ、理解不能【完】
弱い力でなでる千草の手は頼りなくて、もっと安心できるようになでてほしい、なんてまたワガママなことを願ってしまう。
「…… 千草の部屋、いこう?」
自分の声が震えてしまったことに驚く。
千草相手に馬鹿みたいだ。
私が泣きそうになってしまっていること、千草もきっと気付いてる。
「喧嘩」と名前をつけていいのかも分からないこ状況にどう収拾をつければいいのかな。
とりあえず、千草の部屋に行って落ち着きたかった。
自分の部屋よりも落ち着く場所だなんて変な話だけど、事実なんだから仕方ない。
それに、部屋でなら千草もいつも通りになってくれるような気がした。
「……なんでいつも俺の部屋」
「だ、だって落ち着くんだもん」
「男の部屋だろ」
「男じゃないよ、“千草”の部屋だよ」
「……あーそう、じゃあくれば」