彼女は実は男で溺愛で
「いい内容? 悪い内容?」
「悪い、かもしれません」
「そう。まずは史ちゃんの話から聞こうか。兎にも角にも食べよう。腹が空いていては、上手くいく商談も上手くいかない」
「そうなんですか」
「いや、適当に言った」
ふわっと笑った彼の表情を見て、気持ちが和やかになった。
出される料理を堪能したあと、「史ちゃんの相談事を聞こうか」と促された。
「実は、私のために柚羽……経理課の平林さんという、私と同じ新入社員の子が女性社員に突っかかってしまって」
「うん」
女性社員のいざこざの話なんて、聞きたくないだろうなあと思いつつ、そうは言っていられない状況を説明する。
「私の、その、制服は酷い有り様にされて。それをしたのが、その人たちかもしれないんです。見たわけではないので、断定はできませんが」
「そう」
厳しい顔つきで聞いている染谷さんに、心配事を口にする。
「柚羽は私を思って、彼女たちに意見してくれたんです。それを、彼女たちはよく思うわけもなくて。私より酷い仕打ちをされるんじゃって」