彼女は実は男で溺愛で

「史ちゃんが言うと、俺はスーパーマンみたいだ」

 染谷さんが、颯爽と現れるところを想像して笑う。

「本当。ピンチに助けてくれるヒーローですね」

 彼は目を丸くして、それから目尻を下げて言った。

「史ちゃんの力になれるのなら、いくらだって尽力する」

「ありがとうございます」

「もう少し頼ってくれてもいいくらいだ。制服の顛末は知らなかった」

 悲しそうな彼の声を聞いて、胸が苦しくなる。

「それは、もういいんです」

「本当はよくないけれど、史ちゃんの意思を尊重するよ」

 彼の優しさが心に染みる。
 必要以上、踏み入らないようにしてくれて。

「じゃ俺の方も、話そうか」

 私は先ほどとは違った緊張感を持って、彼の続きを待った。
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