彼女は実は男で溺愛で

 話の雲行きがおかしくなって、彼は甘い顔で言う。

「俺、史ちゃんが好きだよ」

 何度も言われるその台詞に、鼓動が速まる。
 言葉を詰まらせ、「あ、の、何度も言わないで」と懇願する。

「分かってくれていないのだと思って。分かってくれるまで、何度だって言うよ」

 熱い顔を左右に振り、もう充分だと示しているのに、彼は重ねて言う。

「好きだよ。史ちゃん」

 溶けてしまいそうな甘い囁きは、顔を熱くさせて仕方がない。

「俺と穏やかに付き合えるか、試してみない?」

 真剣な彼の言葉に、嘘はない。
 彼は重ねて言った。

「それともこんな俺じゃ嫌?」

 自虐的に言う彼に、変わらない思いを伝える。

「染谷さんは、その、悠里さんで。ありのままで素敵です」

「そう。ありがとう」

 春の木漏れ日のような微笑みを浮かべる彼に、こちらまで穏やかになれる。
 私はある決意を持って、染谷さんを見つめた。
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