彼女は実は男で溺愛で
「昔から、可愛いものが好きで。男なのに軟弱だって叱られたりもしたよ」
彼の横顔は、寂しそうな陰を落とす。
「それを仕事につなげて、すごいです」
「そうかな。うん。この仕事は好きだな」
表情を和らげて言う染谷さんは、悠里さんと半分半分のような雰囲気だった。
「今の染谷さん、あんまり男性っぽくなくて、すごく自然な気がしました」
「それは、褒められているのかな」
「えっと、どうなんでしょう。柔らかくて、私は職場でお会いする染谷さんより好きです」
染谷さんに微笑みかけると、指で鼻の頭をかき「史ちゃんはいつも突然だから、心構えができなくて困る」と、ぼやいた。
首を傾げると「仕事しよう。仕事」と、なにかを切り替えるような声を出した。