彼女は実は男で溺愛で

 ボディメイク室には里穂さんがいて、悠里さんの姿はない。
 里穂さんがいるから、ここへは悠里さんの姿で来るだろう。

 久しぶりに会える悠里さんに、少しだけウキウキした。

「悠里はまだ来てないよ。先にボディメイクしようか」

「はい。お願いします」

 私の体をボディメイクしながら、里穂さんは褒めてくれる。

「ずいぶん頑張っているみたいね。脇腹辺りの余分なお肉が胸に行って、カップがきついくらい」

 この下着を付ける前から考えると2カップも上がっているのに、夢みたいな話だ。

「半年くらいかかる人もいるのよ。本当頑張ってる。史乃ちゃん、次の下着に買い換えた方がいいかも」

「次、ですか」

「そう。体に合わせて下着も変えていかないと、理想のボディには近づけないわ」

 今だって、十分変われた。
 これ以上……。

 そもそも、この下着は悠里さんの厚意で買ってもらった下着だ。
 それを買い換えるだなんて。
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