彼女は実は男で溺愛で

「あ、そうだった。下着」

 彼が触れたのはロングブラ。
 クククッと喉を鳴らした彼に、不安になる。

「あ、あの」

「ごめん。ずいぶんと勇み足だね。ゆっくりだって言ったのに」

 チュッと軽いキスをしてから、彼は体を離そうとしているようだった。

「あ、の。傍にいたい、です」

 彼の体に腕を回すと、彼は片手で顔を覆った。

「うん。俺も一緒にいたいけれど」

 なにかを言い淀み、彼は観念したように言った。

「もう寝よう。明日は仕事だし、風呂にも入った方がいい」

「でも」

「一緒に寝ればいい。添い寝だから安心して。史ちゃんの気持ちが、俺に追いつくまで待つから」

 彼は私の前髪を上げ、おでこにチュッとキスをする。
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