彼女は実は男で溺愛で

 見上げる私を、彼は見つめている。

「怖く、ないの?」

「それは、染谷さんだから」

 私の答えを聞いた彼は笑いながら、体を転がして私の隣に寝転んだ。

「ハハ。史ちゃんには負けるよ。そう言われたら、襲えない」

 襲うつもりでいたの!?
 隣の彼を見つめても、答えは分からない。

「どうして、シャンプーそっちにしたの?」

 女性用のシャンプーを使おうかと、悩んだ挙げ句に男性用の方にした。

「染谷さんに、包まれているような気がするかなって」

「ハハ」と笑った彼は「あんまり可愛い発言をしないで」と悩ましい眼差しを向けた。

「連休明けまで、ここに泊まらない?」

「え」

「着替えも持ってきてさ。毎日、史ちゃんとイチャイチャして過ごしたい」

「それは、私の心臓がもちません」

「ドキドキするから?」

 彼はあろうことか、私の胸に手を当てる。
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