彼女は実は男で溺愛で

「あ、あのっ」

「ずっと妬いていた。「私がボディメイクしようか」って、何度言い出そうと思ったか」

『私』と口にするのは、悠里さんとしてだろう。
 そうだとしても、彼女は彼でもある。

「だ、ダメですよ」

「うん。さすがにそれでバレたら、嫌われるよなあって」

「だいたい、妬いてって、里穂さんに? 彼女は女性ですよね」

 里穂さんのエネルギッシュで迫力のある美人な姿が浮かんで、胸の奥がチクリとする。

「まあ、そうだと思うよ。さすがに聞いて確認したことはないけれど。もし里穂が男だったとしたら、俺の手で抹消する」

「抹消って」

 私が笑うと、私の胸に置いていた彼の手がズラされて、際どいラインに触れる。

「んっ」

 恥ずかしい声が漏れ、彼の腕にしがみつく。

「だ、ダメです。染谷さん!」

「もう少しだけ。俺だけに声、聞かせて」
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