彼女は実は男で溺愛で

 ブラと胸との境界線を服の上からなぞられ、甘い吐息が漏れる。

「やっ、ダメ。ねえ、染谷さんっ」

 彼の腕にしがみついて、懇願しても彼は意地悪に囁くだけ。

「二人の時は『悠里』って呼んで。女の悠里ではなく、男として」

「んっ。悠里、さんっ」

 熱っぽい眼差しが私を見つめ、唇が重なる。
 深いキスに、なにも考えられなくなっていく。

 悪戯に触れていた彼の手は、いつの間にはブラウスの隙間から直接触れた。

「やっ。待って、悠里さん」

「ハハ」と笑った彼は体を離し、上半身を起こすと私を解放した。
 息の上がる私の頭を、彼は優しく撫でる。

「悠里さんと呼ばれると、いけないことをしている気がして困る。俺も悠里なのに、ね」

 寂しそうな横顔を見て、胸が痛くなる。
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