彼女は実は男で溺愛で

 彼の熱い息遣いを聞いているだけで、ひどくいけないことをしている背徳感なようなものを感じて、恥ずかしい。

 熱い息を吐いていた唇が私を捕らえ、再び深いキスをする。
 背中に甘いゾクゾクとした疼きが走り、身を捩る。

 フワッと上半身が軽くなったような感じがして、ロングブラのホックが外されたのがわかった。

「あっ、待って。見ないでください」

「どうして、とても綺麗だ」

 ブラから解放された上半身に、彼は指を滑らせる。

 いつも見つめている、彼のあの美しい指先に触れられていると思うだけで、気が変になりそうだ。

 触れているのに、触れていないような優しい触れ方はもどかしく、嬌声が漏れる。

 体にもキスを落とす彼はいやらしいのに、目が逸らせなくて、過剰なほど淫らに溶かされていく。
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