彼女は実は男で溺愛で

「やっ、ダメ」

「ダメ?」

 彼の発する何気ない声だけで、体が反応して熱くなる。

「むずむず、して」

「うん」

「もどかしくて」

「うん。触れて、ほしい?」

「やっ」

 強い刺激に体を仰反らせると、彼は顔にキスの雨を降らせた。

「大丈夫だから、自分で脱げる? 俺を信じて」

 腰回りを優しく撫でられ、耳元で囁かれる。
 ガードルは知らない間に、脱がせられるような下着じゃない。

「でも、シャワー」

 かろうじて残っている理性で訴えると、彼は触れるか触れないかのところを指でなぞる。

「やっ、んっ、悠里、さんっ」

「俺は早く、史乃ちゃんに触れたい」

 掠れた色気漂う声で言われ、私は涙目で言う。

「でも」

「じゃここまでに、しよう」

 そう言っておいて、彼は深いキスをする。
 その後も熱い息遣いで、彼は私に悪戯に触れる。

「意地悪、です」

「うん。ごめんね。俺は、好きな子に触れたい」

 翻弄され、とろけさせられ、彼は熱っぽい眼差しで「寝室に行こうか」と、囁いた。
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