彼女は実は男で溺愛で

「お望みとあれば、朝からもう一度?」

「い、いえ」

「一度と言わず?」

 そう言いながら、彼の指は私の体のラインを怪しく這う。

「ひゃっ。べ、別の機会にお願いします」

「ハハ。もう勘弁、じゃなくてよかったよ」

 楽しそうに笑う彼に、私もホッとする。

「悠里さんも、その」

「ん? 俺は今からもう一度、でも構わないけれど?」

「い、いえ。なんでもありません!」

 クスクス笑う彼は、少し寂しそうな声色で言う。

「いつ、実家に帰るの」

「帰らなくたって」

「それはダメ」

 寂しそうな声で言うくせに、実家に行けと言う。
 クスクス笑うと、彼は頬を緩ませた。

「待っているよ。帰ってきたら、ずっとイチャイチャしたっていい」

 甘い声を出す彼に、私は頬を染めて言った。

「私も悠里さんと、イチャイチャして過ごしたいです」

 目を丸くした彼は、私の体に腕を回して「離したくなくなるじゃないか」とぼやいた。
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