彼女は実は男で溺愛で
焼きそばを炒めていた母が、皿に盛り付け運ぶ。
お盆には、母お手製のソース焼きそばの隣に、色の薄い焼きそば。
私の視線に気付いた母が「これは亮太さんの。お母さんも、最近は塩焼きそばを食べたりもするのよ」と笑う。
お盆の上には、2皿のソース焼きそばに、1皿の塩焼きそば。
それを視界に入れないように、目を背けた。
嫌だ。これ以上、侵入してこないで。
そんな気持ちが渦を巻きそうになって、頭を振る。
子供じみている。
母には母の幸せがある。
そんなこと分かっている。
分かっているからこそ、家を出た。
3人で焼きそばを食べ、私は言葉少なに食べ終わったお皿を手に立ち上がる。
「史乃の部屋、そのままにしてあるから」
流しにお皿を片付けながら、背中でその声を聞いてキッチンを出た。