彼女は実は男で溺愛で
夕食を食べ、そして母に告げる。
「やっぱり仕事が忙しいみたいで、明日は職場に顔を出そうと思って」
「そうなの。残念だわ」
「明日ここから職場に行くよりも、アパートから行った方が楽だから、もう少ししたら帰るね」
母は亮太さんを見て、それから寂しそうに言った。
「そう。残念だけれど、仕事では仕方ないわ。頑張ってね」
私は極力、心を殺して帰り支度をした。
母の前で泣いたり、取り乱すわけにはいかない。
突然知ってしまった事実。
それを見ないように蓋をして、電車に飛び乗った。
早く、一刻も早く悠里さんに会いたかった。
彼の胸に縋りたかった。