彼女は実は男で溺愛で

「すごく、好きですよ。悠里さんの顔も、スタイルも。一見、中世的でも、すごく男性的なところも。仕草が、その男性的にすごくセクシーで困る時があります」

 彼は空いている手の方で、口元を覆う。

「今すぐ押し倒したくなるから、やめて」

 熱の帯びた眼差しは色っぽくて、仕方がない。

「あ、あの。だって」

「正直、体を重ねてガッカリしていないか、心配していたよ」

「へ、あの、それは私のセリフで」

 そっと指先で私の唇を押さえ「俺に言わせて」と、彼は私の言葉を奪ってしまった。

「俺は、男のくせに細くて」

 彼の言葉は、そのままナイフとなって彼自身を傷つけている気がして、こちらが悲しくなってくる。

 私は彼の手をつかみ、唇から外させると、私は思いを溢れさせた。

「細いからって、軽々と私を持ち上げてしまいますし、それに、程よい筋肉が」

「筋肉が?」

「すごく色っぽくて、触れるだけでドキドキしました」

 彼は突然立ち上がると、私に覆いかぶさるように顔を近づけ、キスをした。
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