彼女は実は男で溺愛で

「テニスは、好き?」

 そう聞かれ、訪れた連休最終日。
 気持ちのいい高原のテニス場。

 スニーカーだけ取りにアパートに戻り、彼の運転で少しの遠出。

「運転、上手ですね」

「これでカッコイイ車で連れてこられたら、惚れ直されていたかな」

「いいえ。運転が上手いだけで、高ポイントです」

 茶目っ気たっぷりに言った彼とは、レンタカーでここまで来た。
 運転は好きだから、よくレンタルするらしい。

 またひとつ彼を知って嬉しくなる。

「テニスも上手いところを見せて、ポイント稼がないとな」

 半袖ハーフパンツの彼は爽やかで、キラキラしているから、それだけで充分です! とは言わないでおいた。

 心地よい日差しが、気持ちいい。

「よし。サーブいくよ」
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