彼女は実は男で溺愛で

 高速道路を走らせる彼は「史ちゃんは眠っていていいよ」と心遣いを見せた。

「でも、悠里さん、眠くなっちゃうんじゃ」

「大丈夫。史ちゃん疲れたでしょう?」

「いえ。起きています」

 それから車で、なにを話したのか。
 私も浮ついていたみたいで、会話の内容はほとんど覚えていない。

 アパートに着くと、彼は私の顔を見ずに「シャワー行っておいで。汗をかいただろうから」と、勧めた。

 シャワーを浴びて出てくると、彼もシャワーに向かった。

 既に一度は彼と肌を重ねているはずなのに、その時よりもなんだかソワソワする。

 リビングのソファに座り、テレビをつけてみたけれど、内容は全く入ってこない。

 シャワーを浴び終えた彼が、ソファに座らずに私に確認した。

「夕食は、あとからデリバリーを頼めばいい?」

「え、あ、はい」

「じゃ、寝室に行かない?」
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