彼女は実は男で溺愛で

「前みたいに、触って」

 手を引かれ、彼の肌に顔を寄せる。
 そっとキスをすると、彼の息遣いが変わる。

 前と違うのは、次にどうなってしまうのか、分かってしまうところ。
 そのことが余計に、私を淫らな気持ちにさせた。

「下着、色っぽい」

「見ないで、ください」

「無理」

 前に止まる原因になった下着も、今はなんの障害にもならない。

 ハーフパンツに触れられ、ガードルを履いていない状態が、こんなにも心許ないとは知らなかった。
 ガードルがないと、すぐに知られてしまう緊張から体を固くする。

 すごくふしだらに思われてしまいそうで、履けばよかったのにと後悔し始めた時、一瞬、彼の動きが止まった。
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