彼女は実は男で溺愛で

 次の日になっても、私はどうしても納得できなくて、里穂さんに会えないかメールを送った。
 悠里さん抜きで話したいと、書き添えて。

 定時後、里穂さんに会いに行くと、いつもの感じで出迎えられる。

「どうしたの。おっ、ちゃんと新しい下着つけているわね。体のラインが、服を着ていてもわかるくらい綺麗」

 ホクホクとした顔をさせる里穂さんは、本当に下着が好きみたいだ。

「あの、やっぱり私、自分で下着の代金が払いたくて」

 楽しそうにしていた里穂さんは、動きを止め「そうなの? 甘えておけばいいのに」と言いながらも、パンフレットのようなものを奥から持ってきた。

「気にするから、値段を教えないでほしいって頼まれているんだけれど、仕方ないわよね」

 悠里さん、そんなところまで。
 彼の心遣いに胸を痛くさせ、里穂さんの説明を受ける。
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