彼女は実は男で溺愛で

「史ちゃんの下着、セミオーダーだから、この金額と、ここの金額を足して、2枚分だから単純に2倍」

 想像していた金額よりも、遥かに高く絶句する。

「普通の子たちは、ボーナス払いにするかな。あのさ、変に断る方が失礼なんじゃない? 悠里にしてみれば、大した額じゃないんだから」

「え」

「甘えればいいじゃない」

 悠里さん、そんなにお金持ちなイメージなの、かな。
 私が理解できずにいると、里穂さんは笑う。

「そっか。知らないのか。そのうち話してくれるって」

 里穂さんの方が、彼を知っている事実を再び目の当たりにして、胸が締め付けられる。

 そんなの当然なのに。
 私より前から悠里さんと親しくて。
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