彼女は実は男で溺愛で
「そうそう。最近、また悠里が女の格好ばかりしているね。どうかしたの? 昨日はオフだから、さすがに男の格好だろうと思っても違うし」
「オフ」
「誕生日でしょ? 自分の誕生日に下着をプレゼントするって、悠里もさあ」
「あ、あの。帰らなきゃ」
「へ。あ、そうなの?」
面食らっている里穂さんに、取り繕う余裕もない。
「悠里と喧嘩したんなら、早めに仲直りしなさいよ。あいつ、相当落ち込んでいるわよ」
里穂さんのアドバイスを、ありがたく受け取れる余裕もない。
オフって、誕生日って、なに?
なにも知らない。
その事実に愕然として、目の前が揺らいでいくような気がした。
あの日、少し寂しそうな顔をした悠里さんを思い出し、胸が軋む。
だからって、今さらどうしたらいいの?