彼女は実は男で溺愛で

 その時、扉が乱暴に開き、悠里さんがものすごい形相で入ってきた。
 龍臣さんに押さえつけられている私を視界に捉えると、彼を私から引き剥がし、殴りかかった。

 けれどすぐに龍臣さんに腕を掴まれ、体格差で形勢逆転してしまう。
 悠里さんは、悔しそうに龍臣さんを睨んでいる。

 そんな悠里さんを、龍臣さんは鼻で笑う。

「女の格好で守るなんて、聞いて呆れる」

 龍臣さんは悠里さんの胸ぐらをつかんで乱暴に突き飛ばし、会議室を出て行った。

「イッテ」

 顔を歪め、立ち上がった悠里さんは私の顔を見ないまま、私の手を引いた。
 脚はもつれ、上手く歩けない私を彼は無理矢理に連れて歩いた。
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