彼女は実は男で溺愛で

 赤いルージュが視界に入ったあと、その唇は私の唇に触れた。
 唇を割って舌がねじ込まれ、甘いルージュの味がする。

「んっ! んっ!」

 彼を押してもビクともしない。
 彼は一旦、顔を離したものの、またすぐに私へキスを落とす。

 女性の悠里さんにキスをされる状況はおかしいはずなのに、私にはもう悠里さんは悠里さんにしか見えなくなっていた。

 どんなに綺麗な女性らしい格好をしていても。
 色気ある赤いルージュをひいていようとも。

 その下にある男性を、知ってしまっているから。

「どこを、触られた」

 怒りの含まれた、低い声に肩を揺らす。
 手は胸をなぞり、腰へと降りていく。

 ゾクゾクと背筋に甘い痺れが走り、彼にしがみついて懇願する。

「そこまで、触られてない、です」

 それでも彼は追及の手を緩めない。

 服を剥ぎ取り、下着までも全て脱がされた。
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