彼女は実は男で溺愛で

『龍臣』という名に反応するように、悠里さんの体が揺れた。
 それでもなにも言わず、私の言葉を待ってくれている。

 あの人の言葉をそのまま伝えるのは憚られたけれど、間違って伝わるのは嫌で、そのまま口にする。

「ヤッたのなら、あいつも盛りのついた猿みたいだろうって。悠里さん、そんな面を見せないから、私じゃ満足していなんじゃないかって」

「な、にを」

 息を飲み、なにか言おうとしている悠里さんに言葉を被せる。

「いつも私ばかりで、悠里さんが、その、最後まで、あの、男の人って」

「もういいから、それ以上言わないで」

 額に腕を当て拳を握りしめる悠里さんの掠れた声に、胸が締め付けられる。
< 304 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop