彼女は実は男で溺愛で

 私は、思い切って手を伸ばした。
 そして、彼の腿の付け根にある熱に触れる。

「な、やめっ」

 言葉を詰まらせる彼が、私の肩に頭を預け、身悶えるように息を荒くさせた。

 触れた手はどうしていいのか分からず、添えたまま、自分の鼓動ばかりが速く騒がしくなる。

「気が、変になりそう」

 消えかけの声が、私の体を疼かせる。

「あの、あの人が触れた感触を、忘れさせてください」

 胸を乱暴につかんだ手。
 その感触が拭えない。

 彼は、私の体を優しく抱きしめ直した。

「ベッドに」

 耳元で甘く囁かれ、私は小さく頷いた。
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