彼女は実は男で溺愛で
彼は嘲笑うように続けた。
「別に俺も、女の子を好きだなあと思って見ていたわけではないから、俺の前に現れて俺の前から龍臣の方へ行く女の子たちを見ていても、ああそうだよなって思うくらいで」
泣いていないのに、彼の悲痛な叫びが聞こえるようで、彼の体にギュッとしがみつく。
「ん? どうしたの?」
穏やかな声が、余計に寂しさを募らせる。
「私は悠里さんが好きなんです」
「そう。ありがとう」
「有り得ないですけれど、もし、龍臣さんが女性関係を全て精算して私だけを見てくれるって言われたとしても、私は悠里さんがいいです」
「ハハ」
「悠里さん!」