彼女は実は男で溺愛で

 プレゼントしてくれた花束を花瓶に生け、豪華な料理を並べながら、私は疑問に思った料理の出所を追及した。

「いつの間に、こんなに料理を」

「本当は作りたかったのだけれど、間に合わないからね。持ち帰りにさせてもらって、昼休みに取りに行ったんだよ」

 謎が解けても、私は不平を訴える。

「本来なら私が準備すべきなんじゃ」

「そう?」

「私、なにもあげられていないです」

「だから、もらったってば」

「もう、その流れは大丈夫です!」

「ハハ。厳しいなあ」

 自然な所作で、お皿に取り分けてくれて。
 ああ、だから、これも私がやるべきで。

「ほら、どうぞ」

「私、本当に悠里さんの彼女で、いいんでしょうか」

「どうして?」

「悠里さんが、完璧過ぎるからです!」

 私が力説しても、悠里さんは真剣に取り合わない。
< 327 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop