彼女は実は男で溺愛で
「そうだね。悩んでさえいたのにね。たぶん史ちゃんが、真っ直ぐに言ってくれたからだと思う。からかうわけでもなく、侮辱するわけでもなく、ただ単純に俺を『綺麗』と言ってくれたから」
悠里さんは手を伸ばし、私に愛おしそうに触れる。
「本当に嬉しかったんだ。ありがとう」
私はどう答えたらいいのかわからなくて、「そんな、私はなにも」としか言えない。
「それで、あの頃から好きでしたってなれば綺麗なお話だけれど、そこまで意識はしていなくて。実際に好きになったのは、再会してから」
「え、でも」
「ん? どこか質問がある?」
「どこから聞けばいいのか、わからないくらい、たくさん」
「いいよ。ゆっくり、整理して」
頭がパニックになって、たぶん回線はショートしている。