彼女は実は男で溺愛で

 電車に揺られ、アパートに帰る。
 戻ったら、悠里さんに顔を見せてと言われている。

 今会ってしまったら、甘えてしまいそうだ。
 どうしようかと、逡巡しているとメールが入った。

『そろそろ帰る頃かな。史ちゃんに会いたいな。数時間会わないだけで、会いたくて仕方がない』

 悠里さんのメールは、胸を締め付けて離さない。
 私は嘘偽りのない本音を綴った。

『会ったら甘えちゃいます』

『甘えたらいいよ』

 短いメールは、悠里さんの優しい微笑みを思い出させた。

『大好きです』そう書いては消して。
 送ることはできなかった。
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