彼女は実は男で溺愛で
言ってから、ハッとする。
そうか。莉子ちゃんがここに暮らすとなったら、私の部屋はなくなってしまう。
みんなそれを口に出しにくいのか、黙ってしまった。
「お母さんは、どうなの? 莉子ちゃんと暮らすのは」
私は母を、真っ直ぐ見つめた。
母の心は、もう決まっているのだろう。
ゆっくりと話し出した。
「そうね。莉子ちゃんとは数回しか会っていないし、不安ではあるわ。でも新しい命に関わるって素敵よね」
私はやっと、肩の力が抜けたような気がした。
「お母さんがいいならいいよ。私はたまにしか帰らないんだから、部屋があっても仕方ないし」
「史乃」
母は寂しそうな表情を見せて、私を見つめる。
私は努めて明るく言った。
「私が帰って来た時は、リビングにお布団敷いてね」
母は言葉を詰まらせ、何度も頷いた。
「うん。うん。そうね。次は泊まっていってね」