彼女は実は男で溺愛で

 言ってから、ハッとする。
 そうか。莉子ちゃんがここに暮らすとなったら、私の部屋はなくなってしまう。

 みんなそれを口に出しにくいのか、黙ってしまった。

「お母さんは、どうなの? 莉子ちゃんと暮らすのは」

 私は母を、真っ直ぐ見つめた。
 母の心は、もう決まっているのだろう。
 ゆっくりと話し出した。

「そうね。莉子ちゃんとは数回しか会っていないし、不安ではあるわ。でも新しい命に関わるって素敵よね」

 私はやっと、肩の力が抜けたような気がした。

「お母さんがいいならいいよ。私はたまにしか帰らないんだから、部屋があっても仕方ないし」

「史乃」

 母は寂しそうな表情を見せて、私を見つめる。
 私は努めて明るく言った。

「私が帰って来た時は、リビングにお布団敷いてね」

 母は言葉を詰まらせ、何度も頷いた。

「うん。うん。そうね。次は泊まっていってね」
< 355 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop