彼女は実は男で溺愛で

 会っていいのかな。
 答えは出ないまま、悠里さんのアパート近くの駅に降り立った。

 悠里さんの玄関前に行っても、まだインターホンを押せずに、ぐるぐると思い悩む。

「ね、思い切って押してみたら。インターホン」

「え」

 声を聞いて顔を上げると、悠里さんが立っていた。
 買い物袋を手にしていて、どこかの帰りみたいだ。

「家でジッとしていられなくて。抱きしめていい?」

 穏やかな問いかけに、私は首を振る。

「外では、恥ずかしいです」

「ふふ。そうだね。じゃ中に入ろう」

 私は彼の目が見られずに、俯いたまま頷いた。
 手を引かれ、アパートに連れられる。
 パタンと閉まるドアの音を、どこか遠くで聞いているような気がした。
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