彼女は実は男で溺愛で
カメラマンさんは、紙コップのコーヒーを見つめて話す。
「駆け出しの奴らを安い賃金でこき使うのかって、最初は反発した。でも、悠里さんは違っていたから、そこに賛同した若い精鋭みたいなのが集まって」
悠里さんが話してくれた、デザイン料の話とも重なる気がした。
他の社員の人もやる気を出せるような、そんな仕組みを作っていく人。
「あんな若造の一存で、決められるんだ。西園の権力者かなんかの血筋だろう。気に食わない奴なら、勘弁だがそのお陰で若い才能が育っている」
彼はやっぱり『西園悠里』で。
でも、思っていた『西園』とは違うのかもしれない。
「さて。市村さんと話し込んでいるのを見つかったら、睨まれそうだ。悠里さんと話すのはまたにするよ。嫉妬深いのは勘弁だが、市村さんいい男を捕まえたな」
「離すなよ」とアドバイスをされ、「ハハハ」と、力なく返した。
誰かに、わかりやすく教えてもらいたい。
どうして彼みたいな人が、私を選んだんだろう。