彼女は実は男で溺愛で
「悠里さんの下で働くの大変でしょう。まあ、市村さんには、そうでもないのかな」
「え。厳しいんですか」
「そりゃ、まあ」
私は甘やかされているなあ。と、不甲斐なく思う。
「若い割に言う時は言うからね。衝突も多いが、それでも、悠里さんの言葉を聞こうって大半の奴は思っているよ」
「そうですか」
悠里さんが慕われている事実を知って、胸が温かくなる。
「地下のスタジオ。普通、外部に頼むよな。そういうの」
「そう、なんですか」
「そう。スタジオ持っているところに丸投げすれば、楽だよな。指示を出しに、顔は出すとしても」
どっちが楽なのか、私にはわからないけれど、カメラマンさんは続ける。
「まだ駆け出しの奴らは、スタジオも設備もないから。アシスタントから抜けられるのは、普通ならごく一部。そこを悠里さんは全部会社持ちにしたんだよ」