彼女は実は男で溺愛で

「悠里さんの下で働くの大変でしょう。まあ、市村さんには、そうでもないのかな」

「え。厳しいんですか」

「そりゃ、まあ」

 私は甘やかされているなあ。と、不甲斐なく思う。

「若い割に言う時は言うからね。衝突も多いが、それでも、悠里さんの言葉を聞こうって大半の奴は思っているよ」

「そうですか」

 悠里さんが慕われている事実を知って、胸が温かくなる。

「地下のスタジオ。普通、外部に頼むよな。そういうの」

「そう、なんですか」

「そう。スタジオ持っているところに丸投げすれば、楽だよな。指示を出しに、顔は出すとしても」

 どっちが楽なのか、私にはわからないけれど、カメラマンさんは続ける。

「まだ駆け出しの奴らは、スタジオも設備もないから。アシスタントから抜けられるのは、普通ならごく一部。そこを悠里さんは全部会社持ちにしたんだよ」
< 368 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop