彼女は実は男で溺愛で

「里穂?」

「はーい。声は史乃ちゃんなのに、どうして私の名前を叱り口調で呼ぶのかな?」

 とぼけた声は、完全に確信犯だと見て取れる。
 薄々気がついていた。

 里穂さんは悠里さんが来た日に限って、いつも以上に念入りにボディメイクをする。
 そのせいで、いつもならどうってことないボディメイクで、変な声が出てしまうのだ。

 私が悠里さんに懐いているから、からかわれていたんだ。
 恥ずかしさで耳を赤くさせていると、軽い口調で謝られた。

「ごめん、ごめん。史乃ちゃんが可愛くて」

 そこからは、いつも通りのボディメイクで、変な声が漏れる心配はなくなった。

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