彼女は実は男で溺愛で

 朝から、なんとなく気持ちが晴れない。
 ボディメイクではないけれど、悠里さんと定時後に会えるというのに。

 晴れない理由は、悠里さんに服を選んでもらうからだ。
 ガッカリさせてしまいそうで、なんだか気が重い。

 重たい気持ちを抱えながらも、仕事は頑張ろうと気持ちを切り替える。

 今日の仕事は、販売促進課からの依頼で資料作成。

 どこで、誰が、どの服を試着し、撮影するか。
 スタジオNO.に、モデルの名前や所属、連絡先、そして衣装。

 それらを手書きの指示書を見ながら、データベースから引っ張り出し、資料に載せる。

 指示書は、流れるような美しい字で書かれている。
 全て走り書きなのに、見やすく、指示は的確だ。

 サインの欄に、染谷(そめや)とサインしてあった。
 字のイメージから知的な男性を想像して、胸をときめかせる。

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