彼女は実は男で溺愛で

「はい。お見苦しい姿をすみませんでした」

 謝ると彼女はため息を吐く。

「本当、馬鹿みたい」

 ブレない彼女の冷たさに、どうしてか安心する。

 誰がどうして。と、人間不信になっている私の唯一の灯台のような気さえした。

「今は表立ってイジメたりすると、よく思われないから。陰で色々あるのよ」

「どう、して」

 再びため息を吐く村岡さんは、少しは自分で考えなさいよと言いたげだ。
 やっぱり彼女は灯台なんて、生優しいものじゃないかもしれない。

「知らないみたいだから、教えてあげるわ。この会社に入るほとんどの女性は家の裕福の違いこそあれ、いい男を捕まえるために入ってきているの。玉の輿を狙っているのね」

「玉の輿って、でも、お嬢様が多いって」

 私の意見に腕を組み、彼女は何度目かのため息を吐いた。

「馬鹿ね。本当のお嬢様は、こんなところで働いたりしないわよ。微妙な小金持ちは、西園グループに縋りたいわけ」

 微妙な小金持ちとは、すごいネーミングだ。
 彼女の毒舌ぶりを改めて感じ、今は清々しさを覚える。
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