彼女は実は男で溺愛で

 昨日と同じテーブルに腰を下ろすと開口一番、彼女は核心を突く。

「昨日、龍臣さんと話していたね」

「あ、う、うん」

 どうしよう。彼から突然話しかけてきた、とは言わない方がいいのかな。

「彼、目立つからさ。話すときは注意した方がいいよ」

 ああ、昨日の「みんな狙っているから」は私も狙っているから、という意味だったのかな。

「うん。そうだね。彼、オーラがすごくて。挙動不審になっちゃって。それで注意されたの」

 この理由なら大丈夫かな。
 おずおずと柚羽を確認すると、ハハッと笑っている。

「彼、厳しそうだもんね。でも、それで話しかけられたとなると、周りのやっかみが凄そう」

「えっ」

「みんな彼の視界に入りたくて、躍起だもん。私は、もっと穏やかな人がいいなあ」

 同意して、手を取り合って語り合いたいのに、どこまでが本心かわからなくて曖昧に笑う。

 ここまで龍臣さんが、熱狂的に想われているとは知らなかった。

 昨日の私に戻りたい。
 脚を引き千切ってでも、あの場から立ち去ればよかった。

 それももう遅い。
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