彼女は実は男で溺愛で

「食欲、ないの?」

 お弁当はほとんど食べられず、開けた時と変わらない状況で蓋を閉める。

「うん。少し体調が悪いみたい」

 席で少し眠ろうと思うと伝え、柚羽と別れる。

 席でうつ伏せになって、目を閉じた。
 眠くはなかったけれど、寝てしまった方がなにも考えずに済みそうだと、無理矢理眠りについた。

「お昼休み終わるわよ」

 冷めた声をかけられ、体を起こす。

「あ、ありがとうございます」

「仕事してくれないと、教育担当として困るだけ」

 こちらも見ずに言われても、ほんのり胸の奥が温かくなる。

 さあ、仕事するぞ!
 と、気持ちを切り替え、不意に自分のデスクの上にある物に気付く。
< 67 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop