彼女は実は男で溺愛で

「顔、背けているから、移動できる? 私も、ちょっと動けそうにない、かも」

 私が馬乗りになるような形で悠里さんに乗り、申し訳なさが込み上げる。

「本当にごめんなさい! すぐどきます!」

 私は慌てふためいて、体を起こす。
 悠里さんの体に手を置いて、体の位置をズラそうとして、悠里さんが息を飲んだ。

 私は、自分が置いた手の位置を見る。
 そこは腿辺り。

 自分の触れた感触に、パッと手を離し、目を丸くする。

「え」

 声を発し固まる私へ悠里さんの両手が伸び、私の両脇に手を入れると軽々と持ち上げた。
 私を横に退かし、悠里さんも上半身を起こす。

「あの」

 どうしよう。
 言葉が続かない。
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