彼女は実は男で溺愛で

 思わぬ評価に驚いて、試着室に戻りかけていた私は変な態勢で振り返った。
 ビリッという嫌な音が響いて、体のバランスを崩す。

「危ないっ」

 悠里さんの腕が伸び、私を強く抱き寄せた。

 強い衝撃に目をつぶる。

「イタタ……」

 悠里さんの声を聞き、目を開けると私は悠里さんを下敷きにしていた。

「ごめ、ごめんなさい!」

 慌ててどこうとすると「待って!」と焦った声がした。

「今、動いたら、史ちゃん丸見え」

「え。ひゃっ」

 無理な動きを想定していない服は無残に破れ、胸元ははだけている。
 スカートのスリットも、裂けてより深くなってしまっていた。
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